念願の弁護士になったのに、毎日辛すぎた話。

僕は2007年に弁護士登録した、60期の弁護士です。
丸7年京都市内の法律事務所に勤務し、2015年に独立。
今はパラレルワーカーとして、弁護士だけでなく、HPや動画制作などを通じて士業をサポートする仕事もしています。
この連載では、仕事が辛くて仕方なかった新人弁護士時代から、今までの軌跡をまとめています。
過去の僕のような方に届けば、嬉しいです。
弁護士が辛かった話
僕がパラレルワーカーになったのは、「弁護士の仕事が辛すぎた」というのがきっかけです。
今回は、その辛かった時期の話をします。
バリバリ弁護士の仕事をされている方にとっては、とても幼稚で、笑ってしまうような話だと思います。
頑張りが足りない、甘い、という感想を持つ方もいるはずです。
ただ、僕と同じように感じる弁護士も、数は少なくてもいるはずです。
実際、メンタルに不調を来した弁護士も複数見てきました。
ですから、過去の僕と同じような方に届けば良いなと思って、恥を忍んで書かせて頂きます。
ちなみにHPや動画の仕事は、楽しくて仕方ないです。
依頼を頂く度に、飛び上がって喜んでます(ご依頼お待ちしております!)
結局、「およそ仕事というものが辛い」のではなく、「合う仕事に出会えるかどうか」だと思います。
どんな事務所に入った?
僕が就職したのは、京都市内の法律事務所です。
地裁まで自転車で10分ほどの、多くの弁護士が事務所を構える地域でした。
ボス1名で、イソ弁は僕だけ。しかも、僕が初めてのイソ弁でした。
いわゆるマチ弁として、離婚・交通事故・相続・賃貸借といった個人の困りごとはもちろん、病院・学校・中小企業からの依頼もありました。
本当に幅広い事件を担当させて頂き、ボスにはとても感謝しています。
何が辛かったのか?
弁護士のかたは驚くかもしれませんが、とにかく弁護士の仕事が怖くて仕方なかったです。
何が怖いかというと、「負の感情」です。
・相手方から、怒鳴られる。
・依頼者が、がっかりする。
・依頼者から、感情をぶつけられる。
・相手方弁護士と、論争する。
その全てが、僕の心臓をえぐってくるような感覚でした。
「そんなん、弁護士なんやから当たり前やん」と思われるでしょうが、「当たり前」であっても、事実として「怖かった」のです。
新件が来る度に、怖くて怖くてたまりませんでした。
電話が鳴る度に、怖くて怖くてたまりませんでした。
記憶では、事務所に入って数日後には、もう恐怖心を持っていました。
ただ弁解に聞こえるかもしれませんが、決して手は抜いていませんし、事件放置するようなこともありませんでした。
むしろ過剰な責任感というか、メリハリを付けるのが苦手でした。
だからこそ、余計に怖かったのかもしれません。
僕も、数年はそう思ってました。
時間が経てば慣れる。件数をこなせば慣れる。
そう言い聞かせて逃げないようにしましたが、恐怖はなくなりませんでした。
ちなみに今は、弁護士だけをやっているわけじゃないので、昔より随分前向きに取り組めるようになりました。
僕も、数年はそう思ってました。
自分が弱いんだ、自分がダメなんだ、強くならなきゃ、そうやって自分を鼓舞して、逃げないようにしました。
ある時期は、事務所に向かうエレベーターの中で、「頑張れ」と口に出して、自分を鼓舞していました。
ある時期は、手首に輪ゴムを巻いて、「怖い」「嫌だ」という感情が湧いたら、パチンと輪ゴムを弾いて感情を殺すようにしていました。
仕事を好きになる系の本も、ポジティブシンキング系の本も、考え方を変える系の本も、何十冊も読みました。
カウンセリングを受けたこともあります。
でも、ダメでした。
親しい弁護士にも何人か相談しましたが、あまり共感が得られない印象でした。
僕も、数年はそう思ってました。
クライアントからお金を頂いて、事務所から給料を頂いてるんだから、頑張らなきゃ、と。
そしてある人に、こう言われました。
これを聞いた僕は、自分にこう言い聞かせていました。
あぁ、そうだよな。
だから仕事が辛いのは、当たり前なんだよな。
特に弁護士は、トラブルを扱う仕事なんだから、誰がやっても辛いんだよな。
楽しく仕事ができるのは、特別な才能がある人や、特定の職業だけだよな。
皆辛いのに頑張ってるんだから、自分だけ逃げちゃいけないよな。
こんな風に、「辛い」と感じる自分と「それじゃダメだ」と思う自分がいて、身を引き裂かれるような毎日でした。
なぜそんなに辛かったのか?
まず言えるのは、事務所の環境が悪かったわけではありません。
ボスから激しく叱責されることもありませんし、特別大変なクライアントや相手方がいたわけでもありません。
じゃあ何かというと、「HSP」という気質の影響が大きいと思います。
HSPは「とても敏感な人」で、そもそも争い事が苦手で、人の感情を受けやすいと言われています。
ですから、トラブルに関わる仕事は、HSPにとっては過酷です。
つまり弁護士という仕事自体が、辛さの原因だというのが僕の結論です。
「誰でもトラブルは嫌でしょ」と思うかもしれませんが、その「嫌」の度合いが非常に大きいとお考え下さい。
ただHSPという存在を知ったのは、かなり後になってからのこと。
だから当時は、「自分は弱いんだ、ダメなんだ」と思っていたわけです。
こうして辛い毎日を送っていた僕ですが、ある時期から方向転換を始めます。
次回は、そのきっかけになった出来事をお話しします。
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もし「仕事が辛い」「移籍を考えてる」「他の仕事も考えている」といった方がいらっしゃいましたら、コーチングもオススメです。
念願の弁護士になったものの、毎日辛すぎて仕方ありませんでした。
「一体何が辛かったのか?」「なぜそんなに辛かったのか?」についてお話ししました。
「甘い」「努力が足りない」と感じる方もいると思いますが、過去の僕と似た状況の方に届けば嬉しいです!