猫との対話#11|教えを理解できない本当の理由。

猫「やぁ、調子はどうだい?」
あなた「うん、なかなか良いよ!でも、最近仕事が忙しくて…。」
猫「人間は、とにかく忙しすぎるね。『忙しい』という言葉はチャンスを遠ざける言葉だから、使わないことをオススメするよ。それはそうと、前回話した『他人と比較しなくなる方法』は試してみたかい?」
頭で理解できることは知れている。
あなた「うん、君と話した後、自分なりに考えてみたよ。でも、君から話を聞いた時は『なるほど!』って凄く思ったんだけど、もう一つ納得できないというか、理解できないというか、腑に落ちないんだよね。」
猫「どういうことだい?」
あなた「キミの言うことはもちろん信用しているんだけど、今までずっと人と比べて生きてきたわけだから、『本当にうまくいくのかな?』っていう不安があるんだ。だから、ちゃんと100%理解してから行動に移したいなと思って。失敗したくないし。」
猫「今のキミにボクがどれだけ説明しても、どれだけ新しい考え方を教えても、キミは変わらないよ。」
あなた「え!?なんで!?」
猫「キミは、頭で全て理解しようとしているからさ。」
あなた「え?理解するのは大事だよね?」
猫「頭で理解しようとするってことは、キミは『頭で理解できるものだ』という前提を持っている。できると思ってるから、やろうとするわけだね。」
あなた「うん、言われてみるとそうかも。で、理解できないってことは、学びが足りないんだと思っちゃうよね。」
猫「そう。『理解できない→学びが足りない→もっと学ぶ→それでも理解できない→さらに学ぶ』というループだね。」
あなた「なるほど。」
猫「でも、そのループでは真の理解はできないよ。雨の冷たさも、インフルエンザの辛さも、高級鰹節の美味しさも、体感してみて初めて理解できるだろう?高級鰹節を食べたことのないキミは、その美味しさを想像することはできても、本当に理解することはできない。それくらい、人間の頭で理解できるレベルは知れてるってことさ。」
あなた「確かにそうだよね。『スーパーで売ってる鰹節とどこが違うの?』って感じだもん。」
猫「愚の骨頂だよ。」
行動してこそ理解できる。
猫「そもそも頭で理解できるような話なら、キミは悩んでいない。悩みは常に、処理能力を超えたところで発生する。処理能力を超えたから、悩みになるのさ。キミが箸の使い方で悩まないのは、箸を使う能力があるからだ。でもキミが人と比べてしまうと悩むのは、今の能力を超えているからだ。能力を超えていることを頭で100%理解するなんて無謀だよ。」
あなた「じゃあ、どうすればいいの?」
猫「行動に移すのさ。」
あなた「だから、そのために理解しようとしているんだけど。。。理解してないのに行動に移すなんてできないよ。」
猫「順序が逆だよ。理解できて行動するんじゃない。行動するから理解できるんだ。」
あなた「どういうこと?」
猫「さっきも言ったとおり、頭で理解できるレベルは知れている。だから、ある程度まで理解したら今度は行動に移す。『試しにやってみよう』という感覚さ。キミが子供に自転車の乗り方を教えるとき、頭で100%理解できるようにレクチャーするかい?自転車の仕組みから、バランスを保って走行できる物理的理由まで説明するかい?」
あなた「いやいや、しないよ。ちょっと乗り方を教えたら、とにかく一回乗ってみなよって言うよね。」
猫「それと同じさ。乗ってみて、何回も転んで、本当の意味で自転車の乗り方を理解できるんだ。もしその子供が、『ボクは100%乗れる仕組みを理解してからサドルにまたがります』と言ってきたらどう思う?」
あなた「『それじゃいつまで経っても乗れないよ!』って思うかな。だって、頭でいくら理解しても、乗れるようにはならないから。」
猫「そう、そういうことだよ。キミは、『ボクは100%人と比べなくなる仕組みを理解してから行動します』と言っている。だからボクは、『それじゃいつまで経っても人と比べるよ』って思う。」
あなた「なるほど!!」
本を理解するのも、行動が不可欠。
猫「キミはたくさんビジネス書や自己啓発本を読んでいるだろう?でも、『良い考え方だな』と思っても、腑に落ちるところまではいっていないだろう?」
あなた「そうだね、確かに。」
猫「それは、書いてあることを行動に移さないからだ。ビジネス書や自己啓発本は、言ってみれば『こうしたら、こういうことが起きますよ』というノウハウ本さ。行動していないのに、『本当にそういうことが起きるの?』といくら考えても理解できない。」
あなた「そういえば、僕が一番好きな作家の千田琢哉さんが、『この世の中は納得してから動く人ではなく、実際に動いた人だけが納得できて、幸せになるようにできているのだ。』って書いてたのを思い出したよ。」(「残業ゼロで年収を上げたければ、まず『住むところ』を変えろ!」より引用)
猫「正にそういうことだね。実際に行動した人だけが、本当に理解できるようになっているわけさ。ここの仕組みを知っておかないと、納得できる方法探しに明け暮れて一生を終えてしまう。『つべこべ言わず、言われた通りにやれ』とまでは言わないけれど、やる前から理解できるレベルは知れてるよ。だから、100%理解できなくても、とにかくやってみることをオススメするよ。失敗したって良い。どれだけ多く・早く失敗できるかが、成功への近道だよ。」
あなた「う〜ん。でも…」
猫「また『でも』かい?ボクはこれまでたくさんの人達と対話を続けてきたけど、あまりに『でも』が続くと『じゃあ、もういいよ。納得出来る方法を頑張って探すと良いよ』と思うね。」
あなた「え〜、そんな酷いこと言わないでよ。」
猫「言っただろう?行動した人だけが本当に理解できるようになっている。それを教えてもまだ行動しないなら、ボクが教えられることは無い。」
あなた「確かにそうだよね。うん、分かった!とにかく、行動してみる!」
猫「手当たり次第行動する時間も労力もないから、まずは信頼できる人が言っていることを、リスクの少ない範囲で良いから試してみると良い。行動に移すと、『あぁ、あの時言ってたのはこういうことか』と腑に落ちる瞬間が必ず来る。その繰り返しで、キミの視点は確実に高くなる。今の視点では見えなかった遠くの景色や素晴らしい景色まで見えるようになるよ。そして、ボクが『行動しなさい』と言っていた意味が必ず分かるさ。」
あなた「本当、ありがとう!どうやってお礼したら良いか分からないくらいだよ。」
猫「お礼なんて要らない。キミがすべきことは、キミの人生を通じて得た知恵を、今のキミのように悩んでいる人に分け与えることさ。ボクがこうしてキミに知恵を授けているのも、同じことさ。でも高級鰹節が要らないとは言ってないから、そこは然るべき配慮をしてもらえれば良い。」
あなた「お中元の時期だしね。」
猫「実に良い風習だ。」
まとめ
・自分の処理能力を超えたからこそ、それが悩みになる。
・解決法を頭で100%理解することはできない。
・本当に理解するには、行動が不可欠。
・ある程度理解したら、試しにやってみる。自転車にとにかく乗ってみるのと同じ。
・まずは信頼できる人が言っていることを、リスクの少ない範囲で良いから試してみよう!きっと、今まで言われていたことの意味が理解できる!